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自分ごとの政治学を読んでオレはバカだったことを再認識する~松岡さんの座・読書

自分ごとの政治学を読んでオレはバカだったことを再認識する~松岡さんのブログ「ウェスタン魂~今この時を切り拓く」

 

2021年6月、梅雨らしい空が続いて走りに行くことも出来ません(雨の日は走らないヘナチョコランナー)。

走らないときは色々と思い浮かぶことがあるので、そのことがボケた脳ミソの彼方へ消えないように書いてみることにします。

1年半も続いているコロナ禍で、何度も発出されている緊急事態宣言についての疑問と、その疑問に対する自問自答がきっかけになって手に入れた本が、とても素晴らしいものだったので是非みんなも読んでみてね~♡ という話です。

 

緊急事態宣言って、いつまで緊急なんだろう?

この文章を書いているのが2021年6月18日、私の住み暮らす兵庫県で発出されている緊急事態宣言が週明けの20日に解除されるぞ~っていうニュースが流れてる頃です。

去年の今頃も同じこと言うてました。毎週火曜の夜にやっている「メリパナイトラン」をどんな形で再開しようかな?と迷っていたような気がします。

 

あれから1年経ってコロナ禍から脱却するための試行錯誤は、現在どのように進んでいるのかを考えてみたら

 

「何種類かのワクチンが完成して日本でも接種が進んでいる」

 

この1点しか変わっていないと思うのです。

 

それ以外、政府から出てくる「不要不急の外出やめろ」「飲食店で酒だすな」「たくさんの人が集まる施設の営業を制限する」とか、去年から言われ続けている指示や命令に、1年半で得た現場の経験知は一言も盛り込まれていません。

 

なぜだろう?

今、緊急事態と違うのか?

緊急だからこそ、緊急な状況が去年からどのように変化して、現在どのようであるのか、これからどのように変化する見通しなのか、その見通しに対してどのように備えているのか、なぜ我々に示してくれないのか?

示すことが出来ないなら、緊急事態をさばく能力がないと言ってるのと等しいではないか。

そんな相手に文句や助言を述べたところで、状況は一生解決しない。

とっとと壇上から降りてください。

 

と思うのですけど、じゃ近々行われるであろう選挙でどういう行動をしたらよいのでしょうか?

 

与党と違う政党に投票すればよいのでしょうか?

そう投票するだけで今の状況が改善できるのでしょうか?

 

私はノーだと思います。

今のままだと、どの党が政権を取っても状況はトントンもしくは悪くなるはず。

仕方がないから今の与党に投票して現状に甘んじる選択をする?

数年前まで私はそう思っていましたけど、

今はそれもノーだと思います。

 

そもそも仕方がない、「しゃーない」ってどういうことですか?

自分の暮らしに深く関わっていることなのに「しゃーない」は無いでしょう。

仕方はあるんですよ。

ただ、それは他人に任せていたら恐らく死ぬまで、いや死んでも手に入らないんだろうなと確信してきました。

 

コロナ禍で1年半も色々悩みながら暮らしているうちに、毛が抜け落ちながら気が付きました。

オレはアホでバカなクソおやぢだ。

そう、仕方はあるんです。

自分が住み暮らす街や国の政治は他人ごとではなく、自分のことなのです。

だから、選挙で選んだから選ばれた人がやってくれるとか人任せじゃなく、どうせ自分が何をしても仕方がないと何も行動しないのは、無条件で自分の暮らしをより良くするのをあきらめることなのです。

 

なぁ~んてことに思い至っていたある日、ツイッターを眺めていたら正にビンゴな答えのタイトルを冠した本が紹介されていたのです。

 

その本が、中島岳志さんの「自分ごとの政治学」です。

 

2時間で読める名作

著者の中島岳志さんは最初に

 

・書き手である私と読者である皆さんは、同等の立場であること

・この本を読んでも、私の考えに同調する必要は全くない

 

という前提を述べたうえで、「政治とは何か?」「右派」「左派」「保守」「リベラル」など政治を語る際によく出る言葉の意味や概念、「政治の仕事とは何なのか?」「その仕事を進める上での基本となる考え方」、インドの独立運動家・政治家だったガンディーの生涯にふれて、政治を「自分ごと」としてとらえていく道筋を探り、今の政治を考える上で重要な「死者」という視点を理解することで、政治を学ぶことや政治について考えることが、どのように自分の日常とかかわってくるのかが書かれています。

 

この本が素晴らしいと思う一番のポイントは、政治というとても大きなテーマを100ページ程度の「分かりやすい平素な文章」で書かれていることだと思います。

推敲にかなりの時間をかけたと思われる、とてもていねいな仕事です。

 

政府の政策にボケか~!と文句を言ったり、外国の行動をどうのこうの言ったりするだけが「政治に関心を持つ」のではないということ。

自分の暮らしの日常を少し繊細に見つめ直す、普段意識していないところに意識を向けて辿ってみると必ず政治の問題にたどり着く。

自分の暮らしで対峙したその問題から一歩を踏み出すことで、政治を「自分ごと」としてとらえることができる。

 

コロナ禍で混乱が続く今だからこそ、分かっている人も分かっていない人(私)も2時間使って読んでみる価値がある本だと思います。

 

この本の巻末に紹介されている、政治の「自分ごと」に出会えるブックガイドもおススメです。